鳥  批評と創造の試み

主として現代日本の文学と思想について呟きます。

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

謎々『ユリシーズ』その17 海雀の巣穴の中へ ――「第17挿話 イタケー」を読む

ⅩⅦ Ιθάκη 謎々『ユリシーズ』その17 海雀の巣穴の中へ ――「第17挿話 イタケー」を読む 【凡例】 ・『ユリシーズ』からの引用は集英社版単行本による。鼎訳・巻数、ページ数で示す。柳瀬尚紀訳からの引用は、柳瀬訳・ページ数で示す。また、英語原文はwebサ…

自転車

夢で遇いましょう 自転車 こんな軽装で山登りなんて、と思われるかも知れないが、なにしろぶらっと家を出て、適当に、空想上の棒を倒した方角に、気の向くまま、脚の向くまま、歩き出しただけなのだから仕方ない。電車に乗り、バスに乗り、気が付いたら、な…

澁 谷

夢で遇いましょう 夢で遇いましょう 澁 谷 渋谷という街はまさに田舎者にとっては悪魔の街、と言わねばならない。わたしは東京に来て、もうかれこれ40年余りとなるが、全く以て、渋谷の街の構造、というのかシステムというのか、さっぱり分からない。のだ。…

謎々『ユリシーズ』その10   「岩々」なのか「岩」なのか、それが問題だ。 ――「第10挿話 さまよう岩々」を読む

Ⅹ Πλαγκταὶ 謎々『ユリシーズ』その10 「岩々」なのか「岩」なのか、それが問題だ。 ――「第10挿話 さまよう岩々」を読む 【凡例】 ・『ユリシーズ』からの引用は集英社文庫版による。鼎訳・巻数、ページ数で示す。単行本からの引用は、鼎訳・単行本・巻数…

謎々『ユリシーズ』   亡霊と共にあれ! ――「第9挿話 スキュレとカリュブデス」を読む

Ⅸ Σκύλλη και Χάρυβδις 謎々『ユリシーズ』 亡霊と共にあれ! ――「第9挿話 スキュレとカリュブデス」を読む 【凡例】 ・『ユリシーズ』からの引用は集英社文庫版による。鼎訳・巻数、ページ数で示す。単行本からの引用は、鼎訳・単行本・巻数、ページ数で、…

謎々『ユリシーズ』その8   人喰い族から逃れて ――「第8挿話 ライストリュゴネス族」を読む

Ⅷ Λαιστρυγόνες 謎々『ユリシーズ』その8 人喰い族から逃れて ――「第8挿話 ライストリュゴネス族」を読む 【凡例】 ・『ユリシーズ』からの引用は集英社文庫版による。鼎訳・巻数、ページ数で示す。単行本からの引用は、鼎訳・単行本・巻数、ページ数で、…

謎々『ユリシーズ』その7

Ⅶ Αἴολος 謎々『ユリシーズ』その7 『ユリシーズ』 エピソード7「アイオロス」を読む Αἴολος, Aeolus l この挿話はいわゆる新聞の見出しのようなタイトル付の断章からなっています。しかしながら、見出しこそ新聞のようですが、中身は新聞の文体ではありま…

謎々『ユリシーズ』その6

Ⅵ ΑΙΔΗΣ 謎々『ユリシーズ』その6 『ユリシーズ』エピソード6「ハデス」を読む l 街をぐるぐる回って墓地に至るという構造は冥界巡りというか、『神曲』などを想起させる意味があったのでしょうか? その割にはハデスに比定されるという墓地の管理人のキャ…

謎々『ユリシーズ』その3

Ⅲ Πρωτεύς 謎々『ユリシーズ』その3 『ユリシーズ』エピソード3「プロテウス」を読む 1. 頻出するアリストテレスの引用の意味とは? 大して意味がないのか、それともかなり真剣に捉えねばならないのでしょうか? 2. 単行本ℓ.10 「五本の指が通ればそれは門…

謎々『ユリシーズ』その2

Ⅱ Νέστωρ 謎々『ユリシーズ』その2 はじめに あらかじめ断っておくが、わたし個人はジョイスが好きであるとか、『ユリシーズ』という作品の素晴らしさを痛感している、ということは全くない。 ジェイムズ・ジョイスについての、わたしの限られた伝記的な知…