鳥  批評と創造の試み

主として現代日本の文学と思想について呟きます。

謎々『ユリシーズ』その6

ΑΙΔΗΣ 

 

謎々『ユリシーズ』その6

ユリシーズ』エピソード6「ハデス」を読む

 

 

l  街をぐるぐる回って墓地に至るという構造は冥界巡りというか、『神曲』などを想起させる意味があったのでしょうか? その割にはハデスに比定されるという墓地の管理人のキャラが弱い気もしますが?

l  マーティン・カニンガムのみが一貫してフル・ネームの呼び捨て(つまりMr.なし)ですが、これは一体どういう意味が。話者が一部の例外を除いて、ブルーム本人だとして、ブルームのマーティンへの親しみの表われでしょうか。それとも何か意味が?

l  単行本p.221,.25に「玉石の路上」とありますが、この当時ダブリンは舗装されていなかったのでしょうか? その上を馬車で通行していたのでしょうか?

l  ティーヴンの父はなぜマリガンのことを嫌っているのですか?

l  馬車の中で性行為の痕跡を読み取っている云々という註がありましたが(単行本p.226)、パン屑と性行為と何の関係があるのでしょうか?  

l  天候が当てにならないことの比喩として「子供の尻みたいだ」(単行本p.228,.164)とありますが、そういう慣用句があるのでしょうか?

l  ボイランのことを指して「ダブリンで最悪の男」(単行本p.232,.241)とブルームが思っていますが、何か根拠があるのでしょうか?

l  ボイランがモリーを訪ねることを予想していながら、それを阻止しないのは、何かブルームにも、負い目(文通以外での)があるのでしょうか? 性的不能とか、射精障害とか。

l  単行本p.242,.419-426「しかし手遅れになってから後悔する自殺者もいるらしい。河底で水草にしがみついていた死体。彼はおれの顔を見た。あんなひどい酔っぱらいの女房をかかえて。家具一式を何度買い揃えてやっても、 ほとんど毎週を曜日ごとに女房がごっそり質にいれてしまう。おかげで彼の生活は地獄。あれじゃあ石の心臓でもすりへるよ、 まったく。月曜の朝に、 また新規まきなおし。力のかぎり。 やれやれ、あの晩あの女は見ものだったにちがいあるまいよ、 おれはその場にいたんだ、 とディーダラスが話していた。醉いどれてほっつき歩いて、 マーティンの傘を摂りまわして。」とありますが、これは一体誰のことですか?

l  「マーティン・カニンガムが囁いた」(単行本p.253,.618)以降、11行ほどブルームの視点から外れますが(他にももう一ヵ所(単行本p.p.268-269)あります)、これは一体どういう意味があるのでしょうか?

〈中断〉

 

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