鳥  批評と創造の試み

主として現代日本の文学と思想について呟きます。

司馬遼太郎『愛蘭土紀行Ⅰ・街道をゆく30』お買い上げ有難う御座いました。

◎総特集=ジェイムズ・ジョイスユリシーズ』100年!」

司馬遼太郎『愛蘭土紀行Ⅰ・街道をゆく30』お買い上げ有難う御座いました。

 

皆さん、今日は。東京は颱風一過で午後から暑くなりました。被害に遭われた方々には心からお見舞い申し上げます。颱風捌號(たいふうはちごう)メアリーの今後の進路に当たる方々はくれぐれもご注意ください。

「鳥の事務所」です。8月に入り2冊目が旅立ちました。これで開棚以来14冊お買い上げいただいたことになります。誠に有難う御座いました。

お買い上げ頂いたのは

 

司馬遼太郎『愛蘭土紀行Ⅰ・街道をゆく30』朝日文庫

 

 

日本を代表する歴史小説家にして、独自の視点を持ち得た文明批評家の手になる高名な紀行文集の中の一冊です。日本人に多大な影響を与えたという意味では思想家と言ってもよいかと思います。後半の3章分で自在にジョイスを論じています。「作家ジョイスは、アイルランドでこそうまれ得た。(……アイルランドにあるのは、無気力、空元気、天才的な幻想、雄弁。」

司馬遼太郎は中高生だったころ耽読しました。代表的な長篇小説はこの頃その大半を読破しましたが、分かっていたかどうかは相当疑問です。その頃、一番気に入っていたのが吉田松陰高杉晋作師弟を描いた『世に棲む日々』でした。気に入っていた割には結局行こうとしていた萩にも行かずじまいでした。

後年、ご多分に漏れず例の日露戦役を描いた『坂の上の雲』や数々の歴史エッセイなどを読み、司馬の、歴史家(異論があるかと思いますが)、文明批評家(大体大風呂敷を拡げると誰でも文明批評家になれそうですが)、更には思想家としての側面に心を惹かれた時期もありました。ついには「思想としての司馬遼太郎」という一文を着想(うーん、誰でも思いつきそうだな)しましたが、自らの勉強不足でなんとなく放置したままになっています。現段階ではその完成は難しそうですね。

いずれにしても、わたしの中の、日本史に限定されることになりますが、歴史認識のそのほとんどは司馬遼太郎に負うていることは間違いありません。

わたし自身は、様々な事情*[1]があって、旅に出ることは皆無と言ってもいいのですが、何故かその反動なのか、沢木耕太郎村上春樹といった旅好きの作家のものするものは比較的好んで読んできたように思います。

司馬遼太郎の、この『街道をゆく』シリーズについては多言を要すことはないでしょう。

まさに、人は旅の途上で好むと好まざるを問わず、必然的に思索家になるのです。

 

という訳で、『ユリシーズ』の舞台となったブルームズ・デイ=6月16日も過ぎてしまいましたが、まだまだ『ユリシーズ』刊行100年イヤーは続きます。『ユリシーズ』を読むなら今しかありません(そんなことはないか?)!

是非、『ユリシーズ』をお手に取ってみてください。

それでも、開巻1ページ目から挫折してしまった方には、とても素晴らしい水先(チチェ)案内人(ローネ)がいらっしゃいます。それも複数。かく言うわたしもこの方々がいなければ、とっくのとうに読むのをやめていたことでしょう。つまり、なんらかの縛りは必要だということです。あとは無理に全部読もうとせず、各挿話を比較的念入りに読むということですね。

以下敬称略です。

  • 「22Ulyssesージェイムズ・ジョイスユリシーズ』への招待」全22回開催・2022年2月2日から12月16日までon lineにて実施・発起人:田多良俊樹、河原真也、桃尾美佳、小野瀬宗一郎、南谷奉良、小林広直、田中恵理、平繁佳織、永嶋友、今関裕太、宮原駿、湯田かよこ、新井智也。

On lineによる読書会ですが、どちらかというと公開講義に近いのです。毎回、驚天動地の講義と、そして質問を通じて、専門家、素人、合い交えて、相当熱い論戦が繰り広げられています。是非アクセスしてみてください。

月に2回、第1・第3金曜日の20時から22時まで開講されます。次回の予定は以下の通りです。

 

 

 

PASSAGE by ALL REVIEWS

https://passage.allreviews.jp/

東京都千代田区神田神保町1-15-3

サンサイド神保町ビル1F

 

当面の特集は

ジェイムズ・ジョイスユリシーズ』100年!」ということで、ジョイス関係の本になります。

 

詳細は以下をごらん下さい。

鳥の事務所 | PASSAGE by ALL REVIEWS

 

皆さま、どうか宜しくお願いいたします。

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20220814 1512

 

*[1] まず、固まった休みがほとんどなかった。経済的に自由にできる金がなかった。それよりも自らが育った家庭が旅行に行く、旅をするという習慣がなく、幼年時の頃から、旅行者を恨んでいた、というのは冗談ですが、ま、ひとことで言うと貧乏性なのだと思います。