鳥  批評と創造の試み

主として現代日本の文学と思想について呟きます。

柳瀬尚紀『ジェイムズ・ジョイスの謎を解く』お買い上げ有難う御座いました。  

🐤鳥の事務所PASSAGE店通信🐤

◎総特集=ジェイムズ・ジョイスユリシーズ』100年!」

柳瀬尚紀ジェイムズ・ジョイスの謎を解く』お買い上げ有難う御座いました。

 

皆さん、今日は。「鳥の事務所」です。7月は鳴かず飛ばずでしたが( ノД`)、これで開棚以来13冊お買い上げいただいたことになります。誠に有難う御座いました。

お買い上げ頂いたのは

 

柳瀬尚紀ジェイムズ・ジョイスの謎を解く』岩波新書、です。

かの難作『フィネガンズ・ウェイク』を完訳し、『ユリシーズ』を途中まで訳す途上で鬼籍に入った天才翻訳家の『ユリシーズ』読解のjoy(喜び)の書。取り分け第12挿話の語り手は「犬」であるとの発犬(発見)は話題を呼びました。ジョイスはけっして難解ではなく何回も読めば楽しくなる! きっとね。

……とは言うものの本書についてはいささか申し述べたいこともあり、現在長めの書評のようなものを書いています。要は「語り手」=「俺」が「犬」かどうかは問題ではなくて、固有名がない、ということの方が問題なのだ、というテーマです。書きあがったらupしますので、またお読みいただければ幸いです(笑)。

 

という訳で、『ユリシーズ』の舞台となったブルームズ・デイ=6月16日も過ぎてしまいましたが、まだまだ『ユリシーズ』刊行100年イヤーは続きます。『ユリシーズ』を読むなら今しかありません(そんなことはないか?)!

是非、『ユリシーズ』をお手に取ってみてください。

それでも、開巻1ページ目から挫折してしまった方には、とても素晴らしい水先(チチェ)案内人(ローネ)がいらっしゃいます。それも複数。かく言うわたしもこの方々がいなければ、とっくのとうに読むのをやめていたことでしょう。つまり、なんらかの縛りは必要だということです。あとは無理に全部読もうとせず、各挿話を比較的念入りに読むということですね。

以下敬称略です。

  • 「22Ulyssesージェイムズ・ジョイスユリシーズ』への招待」全22回開催・2022年2月2日から12月16日までon lineにて実施・発起人:田多良俊樹、河原真也、桃尾美佳、小野瀬宗一郎、南谷奉良、小林広直、田中恵理、平繁佳織、永嶋友、今関裕太、宮原駿、湯田かよこ、新井智也。

On lineによる読書会ですが、どちらかというと公開講義に近いのです。毎回、驚天動地の講義と、そして質問を通じて、専門家、素人、合い交えて、相当熱い論戦が繰り広げられています。是非アクセスしてみてください。

月に2回、第1・第3金曜日の20時から22時まで開講されます。次回の予定は以下の通りです。

 

 

 

ところで、全く本題と無関係ですが、最近、なんだか忙しくて、余り長いものや、続きものの映像作品を観ていません。そうするとご飯食べるとき時とか目持無沙汰なので、YouTubeとかで比較的短いものを見ますね。

最近ちょっと驚いたのが『アナと雪の女王』のエンディング・テーマ・ソングを歌唱したことで「一世を風靡した」歌手のMay Jさんです。May J(以下敬称略)の名前こそ知っていましたが、多分多くの人が疑問に思うように、何故「Let it go」(ありのままで)に松たか子の歌唱する「劇中ヴァージョン」とMay Jの歌う「エンディング・ヴァージョン」の二つあるのか。公式の発表は見ていませんが(本当は不味いが、そこに本稿のテーマはないのでご容赦)、いろいろネットの情報を総合すると、松たか子の主張は、自分はあくまでも俳優なので、歌手ではない、劇中で必然性があれば歌うが、他の舞台や歌番組に出るつもりはない。実際、紅白歌合戦も強力なオファーがあったようですが、松は断ったそうです。一つの見識ですね。

そこで、配給会社? ディズニー? は宣伝用にあちこちで露出できる歌手を立てることにして、その白羽の矢がMay Jに立ったということのようです。ところが、オーディエンスの側としては何故、松ではなくて、別人が歌っているのか、カヴァー曲なのだろうが、何故May Jはいかにも我が物顔で歌っているのか(公式ですから当たり前ですが)、といったこと、更には歌が上手すぎる割には個性がない、感情が籠ってないというようなことなどから、相当なバッシングを受けたようです。この辺りのことはわたしは全く知りませんでした。なにしろ、まだ本編を見ていないぐらいですから(´;ω;`)。

ところが、たまたま最近、May Jの歌う「Let it go」をほぼ初めて聞きました。

大変驚きました。YouTubeにアップされているプロフェッショナル・ピアニストである菊池亮太による『菊池亮太 Ryota Kikuchi PIANO』の「【神回】アナ雪弾いてたらまさかの本人登場に駅が大パニックwwwww【ストリートピアノ】Let It Go/アナと雪の女王/Frozen songs on the street session」 (https://youtube.com/clip/UgkxSzezC3tQLR30tJWYoVLUFQEwG91tPxoA)で歌唱しているものを視聴しました。

まず日本語ではなく、英語での歌唱も大きいとは思いますが、取り分け、第1連5行目の「The wind is howling like this swirling storm inside」に見られる低音部の情感の籠り方、体重のかけ方、また逆にさびの部分に至るまで「My power flurries through the air into the ground/My soul is spiraling in frozen fractals all around/And one thought crystallizes like an icy blast:/I'm never going back, the past is in the past!/Let it go, let it go」の高音の高まり方や爆発力は大変な歌唱力と表現力だと感嘆しました(素人の単なる感想です)。

3か月前にアップとされていますが、菊池が寒がっているようなので今年か昨年の冬の映像で、場所は駅の地下広場のようです。観客(通行人?)はさほど多いようには見えず、しかしながら、それとは無関係にマイクなしで声を強力に響かせています。

公式のヴィデオ・クリップの歌唱などを観ると、さほどとも思われないのですが(失礼💦)、この歌唱では菊池亮太のピアノの演奏力も与っているのですが、現場での臨場感と、衝迫力、訴求力がまざまざと伝わってきます。

これは凄い、のひと言です。

2013年の録音時から10年近い年月を経て、May Jが自らの修練で勝ち得たものだと思いますが、四面に楚歌を聞くようなバッシングの状況が、あたかも周囲を凍りつかせる自らの異能力のため人間界を逐(お)われた「雪の女王」エルサの状況とない交ぜになって、この歌に心を吹き込んだのかも知れません(単なる推測です)。

現在、May Jはご結婚もされ、音楽活動も地道に続けているようです。今後の益々のご活躍を心よりお祈りしております。

 

「Let it go」そのものについては別稿「変身と変貌――『呪術廻戦』・『鬼滅の刃』についての感想とその逸脱的考察」(『鳥――批評と創造の試み』2022年3月7日アップ(https://torinojimusho.blogspot.com/2022/03/blog-post_7.htmlにて些少ですが触れました。ご参照頂きますようお願いいたします。

 

 

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当面の特集は

ジェイムズ・ジョイスユリシーズ』100年!」ということで、ジョイス関係の本になります。

 

詳細は以下をごらん下さい。

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皆さま、どうか宜しくお願いいたします。

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