鳥  批評と創造の試み

主として現代日本の文学と思想について呟きます。

ハムレット、遂に旅立つ  

🐤鳥の事務所PASSAGE店通信🐤

◎総特集=ジェイムズ・ジョイスユリシーズ』100年!」

ハムレット、遂に旅立つ

 

皆さん、今日は。鳥の事務所です。

やっと、例の彼が旅立っていきました。成仏しなっせ。心の奥で密かに手を合わせました。

これで開棚以来28冊お買い上げいただいたことになります。誠に有難う御座いました。

お買い上げ頂いたのは霊の、あ、違った、例の彼です。

 

ウィリアム・シェイクスピアハムレット福田恆存訳・新潮文庫

 

イギリス文学、アイルランド文学を問わず、後世の文学、文化、様々な領域に強力な影響を与えたシェイクスピアハムレット』。T.S.エリオットはそこに「客観的相関物」が欠けているが故に失敗とした*[1]が、柄谷行人は、漱石を通してそこに内的「分裂」を見た*[2]。恐らくその意味でも『ユリシーズ』は積極的な意味で「分裂」しているのである。スティーヴンは「やつはシェイクスピアの亡霊がハムレットの祖父であるってのを代数で証明するのさ」と妄想しながら、生徒の補習をみる。定評ある福田恆存訳。

 

 

というわけで、そろそろ2022年、『ユリシーズ』100年祭りも終わりに近づいているようです。残りなんと2冊です。

 

ジェイムズ・ジョイス『さまよえる人たち』近藤耕人訳・彩流社

¥1,360税込・送料別

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商品の説明

姦通と嫉妬、 同性愛、 サド= マゾの四角関係、愛と自由の背反などのテーマを、アイルランドとイギリスの確執や第一次大戦前夜のヨーロッパの時代状況を背景に描かれたジョイス唯一の戯曲にして、イプセン劇につづくケルトの近代劇と言われるものです。表紙凹みあり。中身綺麗。

ジェイムズ・ジョイス室内楽――ジョイス抒情詩集』出口泰生訳・白鳳社

¥3,000税込・送料別

商品の状態

商品の説明

ジョイス二冊の詩集『室内楽』、『ポームズ・ペニーチ』を合本、全詩を収録。原詩と訳詩を二分冊にて収録。一読すると、これがあの『ユリシーズ』の作者の手になる詩なのかと驚くであろう。平易にして過度にロマンティック。しかし、そこに20世紀を代表する小説家の秘密があるのかも知れない。経年劣化。中身は綺麗。

 

是非よろしくお願いします。

 

さて、『ユリシーズ』の舞台となったブルームズ・デイ=6月16日も過ぎてしまいましたし、『ユリシーズ』刊行100年イヤーも後少しで終わりです。『ユリシーズ』を読むなら今しかありません(そんなことはないか?)!

是非、『ユリシーズ』をお手に取ってみてください。

それでも、開巻1ページ目から挫折してしまった方には、とても素晴らしい水先(チチェ)案内人(ローネ)がいらっしゃいます。それも複数。かく言うわたしもこの方々がいなければ、とっくのとうに読むのをやめていたことでしょう。つまり、なんらかの縛りは必要だということです。あとは無理に全部読もうとせず、各挿話を比較的念入りに読むということですね。

以下敬称略です。

  • 「22Ulyssesージェイムズ・ジョイスユリシーズ』への招待」全22回開催・2022年2月2日から12月16日までon lineにて実施・発起人:田多良俊樹、河原真也、桃尾美佳、小野瀬宗一郎、南谷奉良、小林広直、田中恵理、平繁佳織、永嶋友、今関裕太、宮原駿、湯田かよこ、新井智也。

On lineによる読書会ですが、どちらかというと公開講義に近いのです。毎回、驚天動地の講義と、そして質問を通じて、専門家、素人、合い交えて、相当熱い論戦が繰り広げられています。是非アクセスしてみてください。

月に2回、第1・第3金曜日の20時から22時まで開講されます。次回の予定は以下の通りです。いよいよ最終回です。

「1ヶ月に2回、年間22回開催するというおよそクレイジーな企画でしたが、次回はいよいよ最終回となります。第22回はイベント発起人が大集合し、下記ポスターの要領で開催致します。」(主催者)とのことです。

12月16日(金)20:00~22:00 こちらをご覧ください。 出版100周年特別企画:2022年×全22回のオンラインイベント - 日本ジェイムズ・ジョイス協会 (joyce-society-japan.com)

 

 ところで、最近はどうかと言うと、不調であった。10月以降、仕事が忙しくなったり、柄谷さんの『力と交換様式』のメモを取っていたりしたが、突然、やる気が亡くなった。何も読む気も起きないし、何も書く気力も起きない。理由は不明である。

 したがって、PASSAGEの手当も何もせず、荒れるに任せる? 状態で、どうにもこうにも前に進めない。

 理由は不明、と書いたが、一つには悪口を書き続けるのはよろしくないということか? 

夏に、柳瀬尚紀ジェイムズ・ジョイスの謎を解く』の批判文を書いた。秋に柄谷行人の『力と交換様式』の批判文を書いているうちに、なんだかいやになってしまったのだ。本当はこれは素晴らしい、何故、これは優れているのか、という喜びと共に、文章を書きたいのに、そうならなかったのが、よくなかったのか?

そんな訳で、現在迷走中で、PASSAGEの次の特集はおろか、今後どうするかも、考えあぐねている。困った。

正直、何も浮かばない。

とりあえず、今はリハビリのために、家に放置してある本を手当たり次第に読んでいる。ただ、スピードが上がらない( ノД`)シクシク…。

全く、何の脈絡もなく、城山三郎の『勇者は語らず』を読み、また悪口を書いてしまった(´;ω;`)。根性が曲がっているのだろうか?

お蔵入り(もっと詳細に書こうと思っていた)にしていた村上春樹の『図書館奇譚』考を、投げやりでアップした。

今は、これも何故か、加賀乙彦の『雲の都』の第二部「時計台」を細々と読んでいる。

ま、そんなところだ。

 

 

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今年いっぱいの特集は

ジェイムズ・ジョイスユリシーズ』100年!」ということで、ジョイス関係の本になります。そろそろ終了が近づいてきました。次は何の特集にしようかな?

 

詳細は以下をごらん下さい。

鳥の事務所 | PASSAGE by ALL REVIEWS

 

皆さま、どうか宜しくお願いいたします。

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20221108 0027

主要参考文献

エリオット・スターンズ,トーマス. (1920). 「ハムレットとその問題」 Hamlet and His Problems. 著: 『聖なる森』 The Sacred Wood.

シェイクスピア ウィリアム. (1601?). 『ハムレット』.

柄谷行人. (1969年/2017年). 「漱石試論――意識と自然」. 著: 柄谷行人, 『新版 漱石論集成』. 東京: 『群像』1969年6月号(講談社)/岩波現代文庫岩波書店).

 

 

*[1] [エリオット, 1920]。

*[2] [柄谷, 1969年/2017年]